桑原 感動には色がある

日記 - 桑原

桑原の常識って世間の常識と食い違ってることが多いよね

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桑原に若者が殺到している件について

それはなんと言っても

風神雷神図と言えば俵屋宗達

彫像となれば三十三間堂

これはもう動かしがたいところかと

山形にお暮しの医師でありご住職である方から

制作のご依頼を頂いたときにも

まずそのあたりを焦点にお話しした末に

結論としては模作ではなく

むしろどこにもないお姿の風神雷神様を

と言うことで二年後にお納めすることになった

二年は長くない

無い知恵と うたた寝中の感覚まで総動員

試行錯誤ののち

フィギャア作家の岩倉圭二氏の力もたっぷり借りて

やっと完成

文月には納まることに

取り掛かるまでの時間が長かっただけに

各方面から風神雷神に関する様々な話が集まり

そのいくつかは

私の頭の中のたっぷり空いていた本棚に収まった

探した資料の中には大体において

雷も風も自然の驚異として捉えられているようで

台風による災害や落雷の恐怖から逃れたい

そのために祀られることが始まったようなことが書かれている

雷神様には天神様と言うご親戚がいらっしゃるが

天神様はご存知のように菅原道真公のことで

道真公が博多大宰府で悲憤のうちに亡くなられた年から

畿内で相次ぐ雷による災害が起こったため

公のみ魂をお慰めするために天神社を建立したことが始まりとか

雷除けの「くわばらくわばら」と言うおまじないは

もともと道真公の領地であった「桑原」の地名だとか

養蚕のための桑畑は若葉を摘み取りやすいように

低く刈られているから雷が落ちないとか

そんなことを子供の頃に聞いていたが

その後時代とともに

天神様は学問の神様に転向されたから

いまや雷神様とは少しだけ立場が異なっている

私事ながら小学四年生のとき

家庭科の授業を別棟の校舎で受けていて

畳敷きのその教室では先生も和装で

たまたま何かの理由で教室に居なくて

雑巾の運針に飽きていた私は

窓の枠に顎をのせて

すぐ横のプラタナスの樹に群れていたカミキリムシの観察をしていた

その時

実に何の前触れもなく

手を伸ばせば届くようなところに雷が落ちた

ど-んと耳を聾する音

強力なフラッシュの束を浴びたように世界がまっ白になって

一瞬気が遠くなった

幸い怪我はなかったけれど

教室にいた生徒の何人かは気を失って

少しの間誰も耳が聞こえなかった

しばらくは事件の当事者として

クラスの全員が

いろいろ聞かれて一種の人気者になったものの

大方は雷をを怖がるようになった

不思議なことに

私はそれ以来かえって雷が好きになって

夜空を切り裂く稲妻や飛び上がるような雷鳴を聞くと

ワクワクする人間になった

(アユ釣りの最中に雷に会って 長いカーボン竿を放り出して

 逃げ出したりしたのはまた別の話)

落雷は同時に空気中の窒素を電気分解して

雨とともに地上に振り撒く

肥料の三大要素の一つである窒素は稲の生育を助けるから

雷光は稲の夫(つま)と呼ばれ

やがて稲妻の言葉が生まれ

雷様は農耕の神様としても祀られることになった

このところ連日夜に雷を聞くけれど

子供の頃に出会った雷様とは

どこか違っているような気がする

蝉時雨   入道雲   夕立

夏が少しづつ遠くなっているようだ

 

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