あの娘ぼくが葛藤決めたらどんな顔するだろう

中間管理職が選ぶ超イカした葛藤20選

誰もが不安を抱えながら臨んだそうちゃんの再挿管は、想像以上に上手くいったようで、主治医のふたりからは自然と笑顔がこぼれていました。

きっと怖かったのは先生方も同じなはず。

何もできない私たちの代わりに、いつもそうちゃんのことを助けてくださって本当にありがとうございます。

過去には色々葛藤もあったけど、この時は心からそう思いました。
そして、母が一緒に来ていることを知ったもうひとりの看護主任さんが、「せっかくだから」と、忙しい午前中にも関わらず、この日は特別にと母をNICUに入れてくださいました。

母はとても嬉しそうで、眠っているそうちゃんに「よく頑張ったね」と伝えると、愛おしそうにいつまでもそうちゃんの寝顔を眺めていました。

そして、そうちゃんが無事に再挿管を終えたことを聞きつけた看護師さんや医師の皆さんが次々とそうちゃんの様子を見に来ては「頑張ったね」「良かったー」と笑顔で声をかけてくださり、母はますます嬉しそうに「ありがとうございました」と一人一人に笑顔で伝えていました。

声をかけてくださった医師の方々の中には、初めて見る方や少し見かけたことがある程度の方も何人かいて、カンファレンスで共有されていることは知っていましたが、自分たちの知らないところで、こんなにも沢山の人たちがそうちゃんを応援してくれていたことを目の当たりにすると、私は胸がいっぱいになり、そうちゃんは本当に幸せな子だなと思いました。

沢山頑張って、沢山褒めてもらえて。
こんなに沢山のひとたちに愛してもらえてるそうちゃん。

病気なんてない方がいいけど、病気がなかったらこんな幸せを感じることもなかったよね。

小さな身体でいつも沢山のことを教えてくれる我が子を、私はとても誇らしく思いました。
そしてしばらくして、片付けが落ち着いたNさんが来ると、

「せっかくだから、おばあちゃん抱っこする？」

と、とても嬉しそうに提案してくれました。

母は「いいです！いいです！」とかなり遠慮していましたが、そんな母の言葉を無視してNさんはそうちゃんを抱き上げ、あっという間にそうちゃんは母の腕の中に移されていました。

いつも少し強引ですが笑、おかげで母に初めて孫を抱かせてあげることができました。

「わぁ、重い…。」
「大きくなったんだね…。」

小さく見えるそうちゃんの初めての重みを感じながら、5ヶ月の月日と成長を噛みしめているようでした。

なんだか久しぶりに親孝行してあげられたような気がして、私も主人もNさんにとても感謝しました。

そして、そうちゃんは母の腕の中で目を覚ましましたが、まだ眠いのか、母に甘えるようにしてうずくまりながら、しばらくとても心地良さそうにしていました。
心配事がひとつ減ったそうちゃんは、その日からも保育士さんとの遊びを楽しんだり、掃除のおばちゃんにおしゃべりしてもらったり、新しいリハビリに興奮したりして、毎日沢山の人たちに可愛がってもらいながら、ゆっくりと確実に成長してくれました。

再挿管をしてチューブの太さを変えてからも、結局声漏れは相変わらずで、「あー」とか「うー」とか声を出しながら、そうちゃんはいつも皆を楽しませてくれました。
多呼吸や時々発作的に下げるサチュレーションなど、再挿管をしても実際にはなかなか改善されないことも多くあり、不安が消えることはありませんでしたが、それでも多くの奇跡が私たちに沢山の信じる力をくれていたことは確かでした。
そして、この後のそうちゃんの課題は、この慢性化した状態を今後どうしていくのかということになっていくのでした。

恐怖！ 葛藤には脆弱性がこんなにあった